こころゆくまで

お好きな記事で心ゆくまでおくつろぎ下さい

雨にも負けず

雨にも負けず 風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ 丈夫な体を持ち
慾はなく 決して怒らず いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と 味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを  自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり そして忘れず
野原の松の林の陰の 小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば 行って看病してやり
西に疲れた母あれば 行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば 行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば つまらないからやめろといい
日照りの時は涙を流し 寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ 褒められもせず
苦にもされず そういうものに
わたしはなりたい


賢治がなりたがってやまなかった人。「行って」「行って」「行って」と三回も出てくるほど、悩み苦しむ人のために、弱者のために、どこへでも行こうとする人。そういう人でありたいと願った賢治。自己の利益などというものをまったく度外視して、人のために動こうとなさる人間になれるものならなりたいものだと私自身、思っている次第なのであります。

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